古代から、日本には「魂を結び入れる」という結びの信仰があります。

“結ぶ”という言葉は嘗て「むすひ」と清音で発音され、『産霊』『生霊』とも表されて来ました。

この「結ぶ事によって魂が宿る」という考えにインスピレーションを受け、同テーマで数作品製作しました。

「My god! -なんてこと！-」メメントモリがテーマです。

身体が弱ったら病院へ。「死」が日常風景から隔離された現代、今一度「死」を見つめ「生」について考える。

/ 多摩美術大学 卒業制作 優秀賞 受賞作品 

担当教員によるコメント

ウエディングドレスを着た女性達が次々重なるように画面に配された「幸せの型」。そしてリクルートスーツを着た女性達がやはり重なるように配された「成功の型」。まずこの二点の構成の見事さにびっくりした。どちらの画面の女性達もすべて、絵を見る私達と平行に向きあい、一方は微笑み、一方は口を一文字に閉じている。幸せや成功を掴んだはずの人達が何とも画一的で、妖しげな雰囲気さえある。これはまさにこの幸せや成功に対する髙尾さんの抵抗！皆が良いと言うものが良いのか？皆と同じであれば安心なのか？髙尾さん自身が今、直面する現実への等身大のリアリティがここに圧倒的な存在感となって立ち現われた。この作品は型に依らない。だからこそ強く心揺さぶられる。

評・日高 理恵子先生